REPORT レポート

平岡アンディ、剛腕・佐々木尽の猛打をかい潜り圧巻の11R TKO勝利で2冠王者に。
注目のスラッガー対決は栗原慶太が衝撃のKO劇で制する。

平岡アンディ VS 佐々木尽

●第5試合
WBOアジアパシフィック・日本スーパーライト級王座決定戦12回戦

IBF世界スーパーライト級6位
- 16戦16勝12KO -
平岡アンディ(大橋)(勝者)

日本ユーススーパーライト級王者
- 11戦11勝10KO -
佐々木尽(八王子中屋)

注目が集まる国内屈指の好カード、平岡アンディ対佐々木尽の試合は、佐々木の体重超過という波乱の展開ではじまった(18日の前日計量でリミット(63.5キロ)よりも1.8キロオーバーの65.3キロ)。規定の時間内のクリアに至らず、試合当日日本ボクシングコミッション(JBC)の規定にあるリミット+8%未満(68.4キロ以下)であれば試合成立となるが、佐々木は68.1キロでパス。試合は行われるが平岡が勝利すればタイトル獲得となり、佐々木が勝利した場合は空位となる。待ち望んだWBOアジアパシフィック・日本スーパーライト級王座の2冠を前に、平岡は「お客さんが喜んでくれる試合をする」と意気込み、その先の世界戦を見据える。一方佐々木は、前戦で2回ダウンを奪われながらも逆転KO勝利をおさめ11戦10KOと無敗の強打者。平岡も16勝無敗と無敗同士の対決となった。

雄叫びをあげて入場し、リング中央で平岡を睨む佐々木。身長差8センチの平岡は冷静に佐々木を見下ろす展開からのゴングが打ち鳴らされた。

1R

お互いにジャブを放ちながら距離をとる。佐々木が見舞った左オーバーハンドは空を切るがスピード&パワーに会場もどよめく。サウスポーの平岡は距離をとりながら鋭く内側からえぐるジャブ、ワンツー、フック、アッパーを打ち込むが、佐々木は「効いていない」と両手を広げてアピールする。中長距離を保ちたい平岡に、佐々木は一気にステップインで懐に入りこみ、左オーバーハンドを打つが、平岡は冷静に見切りサイドにステップで避ける。なかなか距離をつめさせてくれない平岡に両腕でがっちりガードを固め、左右に体を振りながらプレスをかける佐々木だが、平岡は的確なリードジャブの連打で懐に入れさせない。

2R

ゴングと同時に前に出る佐々木。近距離になったところで見舞った右のオーバーハンドが平岡の頬をかすめるが、平岡は素早くステップですり抜ける。平岡の的確なジャブは佐々木の前進を確実に止めている。さらにリードジャブ、アッパーを確実に当てていく。佐々木の持ち前の体ごと飛び込む左右のオーバーハンドは空を切り、体がロープにもたれたところに平岡はジャブ、アッパー、フックの連打を決めていく。左右のステップで距離をとる平岡を追いきれない佐々木は、苛立ちからかリング中央で両手で招く仕草を繰り返す。しかし、動じない平岡。リードジャブの連打からボディを織り交ぜ佐々木の身を屈める。

3R

左手を高く前にあげるジャブから、リーチ差のある距離を詰めたい佐々木。平岡はジャブを起点に距離とリズムを保ちながら、佐々木のガードの内側から捉えていく。素早い踏み込みと左右のフックで平岡をコーナーに追い詰める佐々木。しかし、平岡はリーチの長さを活かし腕で距離をとり、さらにステップでかいくぐり的確にワンツー、ワンツーアッパー、フックとコンビネーションを決めていく。残り30秒。佐々木の右フックが平岡の左顔側面を捉え、平岡はバランスを崩すが、これはスリップと判断された。
佐々木の攻撃の軌道を見切っている平岡だが、踏み込みのスピードと1発で倒せる攻撃力を兼ね備える佐々木に予断を許さない展開が続く。

平岡アンディ VS 佐々木尽

4R

小刻みに激しく上半身を左右に振り突進する佐々木。中央に陣取る佐々木に、平岡はリードジャブで距離をとる。ロープを背負い佐々木の猛攻にあうが、上半身のボディワークとロープを巧みに使い攻撃をかわしすり抜ける。距離が詰められない佐々木は反対にコーナーでガードを固めて待ち構える。しかし、そこも平岡は冷静にリードジャブで対処。展開を切り替えたい佐々木はプレスをかけながら前進、左のジャンピングフックからの右ボディが平岡の動きを一瞬止める。クリンチする両者。このラウンドでは、平岡がプレスをかけ佐々木が下がる場面も見られた。

5R

試合開始から佐々木の前進は変わらない。しかし平岡は、佐々木の攻撃終わりを狙いリードジャブからのコンビネーションの連打を決めていく。佐々木は、ボディフック、ボディアッパーで応戦。
ロープを背負った平岡に佐々木は渾身のワンツー、オーバーフックを見舞うがボディワークでかわされ、逆にワンツーボディ、アッパーの連打をもらってしまう。距離が詰められない佐々木と、的確に当てながらもガードの固い佐々木をアッパー、ボディを織り交ぜながらこじ開けようする平岡の攻防。

この試合は5R終了後にオープンスコアを採点
アナウンスは48-47が1者、49-46が2者で、3者が平岡を支持。
この時点で平岡の手数と攻撃の的確さに支持が集まっていることがわかる。

6R

判定を聞き展開をかえたい佐々木は、さらにプレスを強めて前進。しかし、平岡はすんでの差でかわし的を絞らせない。距離をとり、正確さを増していくリードジャブ、ボディで手数を増やし、序盤の勢いを失っていくのは佐々木。平岡はリング中央に立ちジャブ、ボディで確実に仕留め、ガードの上から左を振り下ろしも見舞う。ゴング直前にはアッパーも決め佐々木の顔が浮く。

平岡アンディ VS 佐々木尽

7R

前ラウンドから勢いを取り戻し前進する佐々木。しかし、追い詰めたのは平岡。ロープを背負いながら右のスマッシュで佐々木の動きが一瞬止まる。右から回り込み、今度は佐々木にロープを背負わせ、アッパー、左右フック、右フックでついに14秒ダウンを取る。すぐに立ち上がり歩きながら気合をいれるように叫ぶ佐々木。試合再開後すぐに平岡は間合いを詰め、ジャブ、アッパー、フックの連打で佐々木は二度目のダウンを喫する。立ち上がり、足を使って左右にステップでまわり距離が近づけば組みつく。立ち上がり、細いリードジャブでコツコツ当てていく平岡。声を出しながら攻撃を続ける佐々木だが平岡の一発を避けるようにガードをあげたところに、平岡はグローブの上からコンビネーションの強打を打ち込む。なんとかこのラウンドで仕留めたい平岡はコーナーに追い詰めた佐々木に連打を浴びせたところでゴング。

8R

ダウンのダメージを感じさせないように距離をつめワンツーを放つ佐々木だが、平岡の近距離からの左アッパー、左右のフックで顔面を捉える。たまらず組みつく佐々木。リードジャブを的確に打ちこみながら、左アッパーで佐々木のあごが浮く場面が後半になって増す。さらにアッパーを警戒させてから、左のボディの連打を打ち込まれ、さすがの佐々木も身を縮める。前半の勢いは失っているように見えるが、一瞬にして飛び込んで仕留める強打が武器の佐々木にまだ油断はできない。

9R

開始早々、ステップを使いながらジャブ、ボディを決め佐々木の勢いは未だ止まっていない。しかし、距離が取れない苛立ちからか、再びリング中央で足を止め、両手で手招く合図を平岡に送る。ステップで平岡を追うものの仕留めきれず左右のオーバーフックが空を切る。

10R

ゴングと同時に左右フック、アッパーと猛攻を見せる平岡。距離をとり、今度はコーナーを背負う平岡に大振りな左を見舞う佐々木だが、避けられ逆に平岡の打ち下ろし、アッパー、フック攻撃を受けてしまう。
距離が遠くストレートが届かない佐々木は、再びプレスをかける。平岡のロングリーチが活かせる距離からのワンツーが佐々木の顔面を確実に捉え、佐々木の動きが止まる。頭を下げる佐々木。しかし、佐々木も平岡に左右のオーバーフックで応戦。クリンチから平岡の右スマッシュが佐々木の頬を捉えた。

11R

スタミナ切れを心配する声をよそに、変わらずプレスをかける佐々木。平岡はリードジャブを使い距離をとりながら、佐々木の打ち終わりを狙う。平岡は佐々木をコーナーにつめ、佐々木の左右フックに合わせた右ジャブからの左アッパーが佐々木のあごを打ちあげる。しかし、猛攻で迫ってからクリンチ。離れてからも突進する佐々木。平岡は佐々木の打ち終わりに、左ストレート、右フック、左ストレートのコンビネーション、渾身の右アッパーが佐々木のあごを打ち上げ、佐々木の身体がマットに沈む。数秒間、膝をつき立ち上がれないところでレフリーストップ。11R 1分58秒で平岡選手のTKO勝利となった。
以上の結果から平岡アンディがWBOアジアパシフィック・日本スーパーライト級王座の2冠を獲得した。

平岡アンディ VS 佐々木尽

●第4試合
OPBF東洋太平洋バンタム級タイトルマッチ12回戦

東洋バンタム級チャンピオン
- 11戦10勝8KO1分 -
中嶋一輝(大橋)

東洋バンタム級2位
- 21戦15勝13KO6敗 -
栗原慶太(一力)(勝者)

強打で定評のある二者が激突。至高のスラッガー対決として注目の一戦。王者・中嶋一輝は現在無敗。今回が初防衛となる一戦に。対する栗原は前回2021年1月OPBF東洋太平洋バンタム級で井上拓真戦に敗れて以来の復帰戦となる。

中嶋一輝 VS 栗原慶太

1R

両者前手でお互いのグローブを触りながら自分の距離を測り合う。サウスポースタイルの中嶋は広めのスタンスをとり、上体を柔らかく上下に揺らし右手でジャブを放つ。リング中央に陣取り圧力をかけていくのは挑戦者・栗原。距離の取り合いで、ジャブ、ボディ、ストレートを巧みに使いながら優勢に運んでいる印象は中嶋。しかし、中嶋の打ち終わりにボディを打ち返すなど栗原も応戦。ボディストレートの応戦から、中嶋の放つワンツーが栗原の顔面を捉え、少しバランスを崩す栗原。栗原が入り込んだところに右フックで反応し、栗原の展開に持ち込ませない。

2R

中嶋がリング中央をとりながら、栗原が入り込もうとした瞬間に左の打ち下ろしを見舞うスピーディーな展開。距離を測り合う中、栗原が一歩踏み込み左フックで中嶋の顔面を捉え、思わずバランスを崩す中嶋。たまらずロープを背負い、ガードを固めるが栗原のねじ込むようなパンチの連打を受けてしまう。中嶋は距離を取り直す。栗原はまっすぐに左手を伸ばし距離を計り、左フックで中嶋を後退させるが、中嶋もボディを打ち込む。お互いにロングレンジのボディストレート、フックの応戦が続く。緩急のある中嶋のコンビネーションからのフックが栗原の顔面を捉えるが、数ミリの差で致命的なダメージには至っていない。しかし、互いに1発で仕留める破壊力を持つだけに不気味さを漂わす展開に。

3R

相手のモーションを読み、左ストレートを合わせる中嶋。一方栗原は相手のグローブを触りながら確実にプレスを強めていく。左サイドに回りながらロープ際に立った中嶋に、左手を伸ばし定めたように右フックを放つ栗原。この一撃が中嶋のあごを撃ち抜く。膝から崩れる中嶋。ダウン。なんとか立ち上がるものの、足元がおぼつかない状態。カウントを数えられ試合再開。一気に距離を詰める栗原、左右のフックを放つが中嶋は対応しきれておらず、右フックで耐えきれず再びダウン。レフェリーが割って入り、栗原が52秒TKO勝利をおさめた。以上の結果から栗原慶太がOPBF東洋太平洋バンタム級王座を獲得。中嶋は初防衛ならず。

中嶋一輝 VS 栗原慶太

●第3試合
スーパーフェザー級8回戦

日本スーパーフェザー級12位
- 11戦7勝4KO3敗1分 -
遠藤勝則(角海老)

日本スーパーフェザー級14位
- 26戦16勝6KO9敗1分 -
高畑里望(ドリーム)(勝者)

1R

遠藤169センチ、高畑180センチ。身長差11センチとリーチ差がある対戦。また高畑は29歳デビュー、現在42歳と遅咲きながら今回の一戦にかける。高畑は長いリーチを活かしリードジャブを起点に、懐に入ってくる遠藤のボディを巧みに打ち分ける。ハンマーパンチを武器とする遠藤は距離を詰めて左右のフックから高畑の動きを止めてロープ際に追い詰め、左右の連打で高畑は頭を下げて体はくの字に。しかし、耐えながら足を使い距離をはかる。

2R

上半身を前にかがめ左右の連打で前に出る遠藤。しかし冷静に左右に回りフック、下からアッパーを放つ高畑は前に出続ける遠藤に対して、ロングレンジで距離をとりジャブを突き刺す。近距離ではアッパー、ボディと打ち分け、徐々に自分のペースをつかみ始めた高畑。

3R

高畑の長いリーチに苦戦する遠藤。ガードを固めて懐に入ろうとするものの、高畑は、打ち上げるアッパー、フックと、ガードの隙を冷静に見て攻撃を打ち分ける。開始2分、遠藤の眉尻から出血が見られる。

遠藤勝則 VS 高畑里望

4R

左手をまっすぐに伸ばし相手の視界を遮る構えは高畑。よりリーチ差を活かされ、まっすぐにステップする遠藤は懐に入れず、ガードを固めてプレスするものの高畑の技巧的な打ち分け、コンビネーションでリードすることができない。クリンチからの鋭角なアッパーに、近距離、中長距離を高畑が制している印象が残る。

5R

高畑は着々とロングリーチのジャブで得意な距離に持ち込み、ワンツーを打ち込み、遠藤のプレスには回り込んでの攻撃で自身の攻撃スタイルを展開。一方遠藤の口は開き、スタミナの消耗が見られ前進するので精一杯な様子が伺える。

6R

近距離でも勝機を見出した高畑。遠藤がもたれかかる体勢からも、アッパー、左右のボディで確実に仕留めにかかる。頭を突き合わせ離した隙にアッパー、フック、打ち下ろしを全て決めていく。遠藤も応戦するものの軌道を見切った高畑は交わして致命打をもらわない。耐え続ける遠藤だが、体を離し、中長距離に立った高畑のフック、アッパーのコンビネーションの連打に成す術なく、レフェリーストップがかかる。高畑里望2分37秒TKO勝利。

●第2試合
スーパーフライ級6回戦

- デビュー戦 -
豊嶋海優(大橋)(勝者)

- 11戦3勝3KO6敗2分 -
堀井翔平(トコナメ)

WBA世界ミドル級スーパー王者・村田諒太を輩出した名門・東洋大学で主将を務めた豊嶋(アマチュア戦績 67戦 44勝 (13ストップ勝ち)がプロデビュー戦。サウスポースタイルの豊嶋が軽いフットワークでリングを回りながら、ヒット&アウェイのスタイルを見せる。足を止めて左右のボディからの強打を打ち込み、相手の打ち終わりを狙ってのカウンター狙う。堀井もガードをあげてプレスをかけてワンツーからの連打で距離を詰める。堀井は体当たりの攻撃などを見せるもののスピードで勝る豊嶋だが終始試合をリード。最後のラウンドで堀井は猛攻を見せるが豊嶋がステップでかわし判定3-0で豊嶋が勝利した(59-55、59-55、60-54)。

豊嶋海優 VS 堀井翔平

●第1試合
ライト級4回戦

- デビュー戦 -
谷原凌(REBOOT.IBA)(勝者)

- 2戦1敗1分 -
西口享佑(E&Jカシアス)

ナイトクラブのガードマンをしている今回デビュー戦の谷原。対するは元いじめられっ子だったという西口。個性の違う両者の対戦。オーソドックススタイルの両者。パンチ力に自信のある谷原は重いジャブを見舞っていく。体が流れる西口。ジャブ、フックを放つが谷原のジャブが突き刺さる。お互いにジャブからのコンビネーションを繰り出すがクリンチからの展開が多くなる。後半ラウンドになって谷原の左右のフックの連打が西口を捉え体躯が揺れる。近距離からの打ち合いで離れては谷原が打ち下ろし、クリンチになりながらも、果敢にワンツーを放つ。4R西口の左目が腫れリングドクターチェックが入る。最後のラウンドまで打ち合いに応じた両者だったが、近距離戦で有効打をものにした谷原が判定3-0でデビュー戦を制す(2者 39-37,1者 40-36)。

谷原凌 VS 西口享佑

著者プロフィール

たかはし 藍(たかはし あい)
元初代シュートボクシング日本女子フライ級王者。出版社で漫画や実用書、健康書などさまざまな編集経験を持つ。スポーツ関連の記事執筆やアスリートに適した食事・ライフスタイルの指導、講演、一般向けの格闘技レッスン等の活動も行う。逆境を乗り越えようとする者の姿にめっぽう弱い。
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